コロナによる外出自粛の影響かはたまたその関連によるプロドライバーのバーチャルレースが要因か…どちらにせよ、世界的なコロナ禍により、e-Motorsportsが世界的に注目を集めている。
日本も例外でなく、グランツーリスモSPORT発売当初以来となるステアリングコントローラー(以下、ハンコン)の品薄や価格高騰が発生している。
さて、e-Motorsportsを楽しむのにあたってはハンコン必要不可欠とも言える存在だが、ここで問題となるのがハンコンの設置箇所や方法の問題だ。
筆者もハンコン購入当時、コックピットの設置にはかなり悩んだ経験がある。PS3時代はLogicoolの『Driving FOrce GT』という安価で反力トルクも大きくないハンコンを使用していたため、安い折畳み机に固定して使用していた。しかし、PS4でグランツーリスモSPORTが発売されたのを皮切りにThrustmaster製のハイエンドモデルハンコン 『T-GT』というモデルを使い始めてから、机がハンコンからのFFBに耐えらず、ズレ動いてしまうことに頭を悩ませていた。
そこから、ハンコンを100%楽しみ切る為にはやはりしっかりと固定できるコックピットが必要不可欠と思うようになり。必死にコックピットについて調べた記憶がある。
今回はe-Motorsports楽しむために必須となるコックピットに触れていくことにする。
コックピットの重要性
ハンコンを使用する際は勿論、通常のゲームパッドの様にただ両手に握るだけでなく、ステアリングを切った際もズレない様にしっかりとした台座に固定してあげる必要がある。
特にハイエンドモデルのハンコンになってくると10N・m以上の反力トルクが発生するため、4kg,5kg程度の軽いテーブルに固定してもテーブルごとズレてしまう。そのトルク性能ゆえにテーブルがズレた表紙に突き指や最悪、骨折なんてことも十分考えられる。そのため、しっかりと固定できるスペースを確保してからハンコンを購入しないと「まともにプレイ出来ない。ゲームパッドのままの方が良かった・・・」なんてことにもなりかねない。 ポジティブな面から言えば適切なドライビングポジションを確保しやすいという利点もある。一般家庭にある座卓や食卓テーブル、パソコンデスクなどでもしっかりと固定出来るならば構わないが、それらは食事やデスクワーク時に最適な姿勢が取れる様に設計された物であるため、必ずしもハンコンを設置した際に最適なドライビングポジションが取れるとは限らない。 しかし、専用のコックピットであればハンコンを使用するために設計されているため、最適なポジションを取りやすく、また調整の効く製品も多い。そのため、理想的なドライビングポジションでゲームに臨むことができ、結果的にタイム向上が期待できるし、やはり最適な姿勢でプレイするレースシムは何よりも楽しいということだ。
ハンコン用コックピットの選択
ハンコンを設置するにあたって、重要となるのが前述したとおり【固定方法】と【適切なドライビングポジション】だ。 それを解決するのがハンコン専用のコックピットだが、一口にコックピットと言っても各社から様々な種類の商品が発売されているため、自分のプレイスタイルや環境にあった商品を選ぶ必要がある。 ハンコン設置用コックピットを選ぶときに主に考慮すべきは以下の5点となる。
- 予算
- 対応ハンコン
- 収納性
- 設置スペース
- 拡張性
予算
まず、一点目としては当然、コストだ。シートが付属しない安い物では数万円から高い物では十万円を優に超える商品もある。この予算により、選択肢数が大きく変わってくる。
対応ハンコン
二点目としては、対応ハンコンだ。
専用台座は基本的にハンコンのホイールベースを据え付けるための金属製の天端板がある。その天端板に事前にハンコンを固定するためのネジを通すネジ穴用の開口が設けられているのだが、ハンコンの種類によってネジ固定する箇所が変わってくる。そのため、所有又は検討しているハンコンと互換性のあるコックピットを選ぶ必要がある。
収納性
ハンコンを設置するためには前述したとおり、天端板に据え付ける、要は簡易的な机が必要になる上、アクセル・ブレーキなどのペダル類もあるため、シートは家にあるものを代用するにしろ、ちょっとした大きさの家具くらいのサイズ感がある。
置きっぱなしにできるスペースが確保できるのであれば、それに越したことはないのだが、家庭の事情がそうもいかない方も大勢いらっしゃることだろう。その場合、折りたためて収納できるタイプのコックピットもあるため、収納するとしたらどの程度のスペースが必要になるかも合わせて検討した方が良いだろう。
設置スペース
実際にレースシムをプレイする時は、コックピットを設置する箇所が確保できるかが重要となる。 製品によって、勿論大きさは異なってくるが、プレイシートと一緒になっている【一体型】かホイールベース・ペダルセットのみの【台座】かで占用スペースは大きく変わってくる。 実際に自分が考えている設置個所にコックピットが収まるか、十分に確認をしておくべきだ。
拡張性
もし、マニュアル用のHパターンシフターやサイドブレーキなどのAdd-onを追加する予定がある場合はコックピットが追加したAdd-onを設置するスペースがあるか確認する必要がある。
もしくは各コックピット専用にAdd-on設置用の専用追加パーツが存在している場合もあるため、自分が構築したいハンコン環境を考えて購入するコックピットを検討する必要がある。
おすすめハンコン用コックピット
台座型
武者震いREVOLUTION
◆武者震いREVOLUTION性能表 | |||
---|---|---|---|
対応ハンコン | Thrustmaster・Logicool | 収納性 | ○ |
設置スペース(幅×奥行) | 480mm×600mm | 拡張性 | ○ |
GRAPHT社の折りたたみ式コックピット。過去に銀座ソニーストアで行われた当時発売前のThrustmaster社フラッグシップハンコン『T-GT』の体験会で使用されていたものでもある。
筆者がT-GTの体験会に参加したのも、グランツーリスモSPORTがまだ発売される前の2017年の8月頃だったか。その際、使用されていたのが本製品だったが、剛性感が非常にあり『T-GT』の最大8N・mという強力なトルクを前にしてもビクともしなかったのを覚えている。
『武者震いREVOLUTION』はハンコン本体とペダルセットのみを固定する台座型であり、自分が座るための椅子は別途用意する必要があるが、基本的には日本の家庭にあるどんな椅子にも対応できるように設計されており、ダイニングチェアから座椅子まで、それぞれの座高に合わせて、ハンドルやペダルの位置・角度を調整できる様になっている。
ただ、欠点として本製品は真ん中に支柱があることが挙げられる。左足ブレーキやヒール&トゥをやる際に支柱が足に当たり、角ばった金属で出来ているため勢い余って思い切りぶつけてしまうと地味に痛い。
しかし、欠点と言える欠点はそれくらいで剛性があり、かつシフタ―を取り付けられるなどの拡張性もあるため、常設スペースを確保できない家庭環境にマッチしている。
AP2 Racing Wheel Stand
◆AP2 Racing Wheel Stand性能表 | |||
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対応ハンコン | Thrustmaster・Logicool | 収納性 | 〇 |
設置スペース(幅×奥行) | 620mm×535mm | 拡張性 | ◎ |
真ん中に支柱があるタイプを避けたいという方には本製品がおすすめだ。武者震いREVOLUTIONと同価格帯ながら支柱両端にあるタイプとなるので、ペダルワークは格段にしやすい。
ペダル位置やスタンドアームの角度や長さは勿論、調整は出来る物の、アームの長さを最も縮めても58cmの高さはあるため座椅子でのプレイにはやや厳しい。
拡張パーツとして、ギアシフタ―スタンドが用意されているため、マニュアルでの運転を楽しみたい方にも勿論おすすめ出来る。また、他のコックピットよりも拡張パーツが豊富で、キーボードスタンドやマウスホルダーなども追加できるため、PCレースSIMユーザーにも特にオススメできる商品となっている。
詳細なレビューは4gamer.netさんで書かれているため気になる方は覗かれてみてはいかがだろうか。
[blogcard url=”https://www.4gamer.net/games/017/G001762/20130228031/”]
Next Level Racing Wheel Stand DD
◆Wheel Stand DD性能表 | |||
---|---|---|---|
対応ハンコン | Thrustmaster・Logicool・FANATEC | 収納性 | △ |
設置スペース(幅×奥行) | 640mm×800mm | 拡張性 | ○ |
数々のレーシングシミュレータ用コックピットシステムをリリースしている『NEXT Level Racing』の折り畳み式コックピット。日本では『マイルストーン』という会社が正規販売代理店となっている。
製品名の最後についている【DD】は【ダイレクトドライブ】の意味。本製品は折り畳み式でありながらもダイレクトドライブ式ハンコンの強烈なFFBに耐えられる性能を持った製品となっている。強力なトルクに耐えられる様、剛性を高めたためか総重量は20.4kgと折り畳み式にしてはかなり重たい。正直、成人男性でも20kgの物体を動かすのはそれなりの重労働だ。ただ、他の折り畳み式同様キャスターが付いているため、移動自体は不可能ではない。
また、ハイエンド使用のため、拡張パーツを追加購入しなくとも、シフタ―設置用のスタンドが付属してくるのは嬉しいポイント。しかも、このスタンド、左右どちらにでも設置できるだけでなく、ハンドブレーキキットを設置するスペースも考慮されて設計されているため、ラリーSIMなどを考えている方にもおすすめだ。
折り畳み式最強の剛性と拡張性、そして足元が自由な両端支持型と非常に使い勝手が良い。しかし、収納メインの折り畳み式にしては重過ぎる重量が少々ネックなところではある。また、拡張パーツが事前に装備されているが、他の折り畳み式コックピットより3倍近い価格がする。
ロッソモデロ GTD-SS
◆GTD-SS性能表 | |||
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対応ハンコン | Thrustmaster・Logicool・FANATEC | 収納性 | ◎ |
設置スペース(幅×奥行) | 600mm×920mm | 拡張性 | ○ |
車のスポーツマフラーを制作されている企業で、マフラーの加工技術を元にハンコン用コックピットの作成をしている。自動車のマフラーを制作しているだけあって、鉄の溶接や曲線施工に長けており、見た目もカッコよく、剛性も文句なしである。
ロッソモデロ社からは複数のコックピットがリリースされているが、『GTD-SS』は唯一のシートが付属しない台座型である。
本製品は台座型ながら真ん中に支柱がなく、両端で支持するタイプとなっているため、ペダル操作時に支障物が無く快適なペダルワークが行える。勿論、ハンドルやペダルセットの角度・高さ調整により座椅子からゲーミングチェアまで対応可能となっている。
大きな特徴として台座型のため、勿論折畳み収納が出来るのだが、本製品は何とハンコンとペダルセットを付けたまま、折りたためるのだ。コックピットとハンコン一式でそれぞれ、収納場所を設けずに一か所にしまっておけるのは日本の家庭事情として、とても心強い。
また、何よりもレースSIMで遊び終わった後にコックピットからわざわざハンコンとペダルセットを外す手間も必要ないし、遊ぶ時に付け直す手間もない点が嬉しい。正直、毎回設置する手間を考えるとそれだけで億劫になり、最悪プレイする気が起きないなんてことにもなりかねない。
シフタ―設置用の拡張パーツも販売されているため、台座型としてはかなり実用的なアイテムとなっている。
欠点としては、その高性能さゆえに他の一般的な台座型コックピットの3倍近い価格となることくらいか。
一体型
長谷川工業株式会社 DORAPOJI
◆DORAPOJI性能表 | |||
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対応ハンコン | Thrustmaster・Logicool・FANATEC | 収納性 | × |
設置スペース(幅×奥行) | 600mm×1400mm | 拡張性 | 〇 |
脚立や梯子のパイオニアである長谷川工業株式会社が制作したコックピット。
人の命を預かる梯子などの鋼材を加工するメーカーのため製品はコックピットの中でも非常に頑丈に出来ており、高い堅牢性が本製品の持ち味であり、一番の特徴でもある。
構造上、シートとペダルセットがほぼ同じ高さとなるため、レーシングカーの様に低いドライビングポジションが取れる。勿論、自分の体格に合わせてシートの前後やハンドル、ペダルセットの角度等を自由自在に設定できる。
プロレーシングドライバーの脇坂薫一選手も監修に関わり、公式サイトで理想的なドライビングポジションを取れることに拘ったと発言している。
ベースモデルとアドバンスモデルがありアドバンスモデルはペダルセットの調整機能やシフタ―マウント、モニタースタンドなどがセットになっている。また、さらに拡張パーツを追加することでトリプルモニターとすることも可能だ。
ロッソモデロ GTD-Spec i
◆GTD-Spec i性能表 | |||
---|---|---|---|
対応ハンコン | Thrustmaster・Logicool・FANATEC | 収納性 | × |
設置スペース(幅×奥行) | 700mm×1500mm | 拡張性 | 〇 |
ロッソモデロ社のスタンドとシートが一体となったコックピット。
スタンドとシート部分が分かれているため、座面からハンドル及びペダルまでの距離を自由に調整できる。そのため、身長の高い人でも難なく調整することが可能。ただ、スタンドとシートが分かれていると言っても、両者を繋ぐ金属製のプレートがあるため、ペダルをどれだけ強く踏んでも、シートが後方へズレるといったことは皆無だ。
シート自体はセミバケットシートになっていて、背もたれの角度調整と前後方向への移動が可能。スタンド自体のアーム・ペダル位置角度調整機能と併せて、最高のドライビングポジションを確保できる。
スタンド自体の剛性も十分ある。筆者は高トルクのFFBを発揮するスラストマスターのT-GTというハンコンを使用しているが、激しいオンラインレースなどでもビクともしない。
また拡張パーツとして、シフタ―スタンドやハンドブレーキ固定用のサイドレール。最適な位置にモニターを設置できるモニターラックも用意されている。
STRASSE RCZ01
◆STRASSE RCZ01性能表 | |||
---|---|---|---|
対応ハンコン | Thrustmaster・Logicool・FANATEC | 収納性 | × |
設置スペース(幅×奥行) | 550mm×1350mm | 拡張性 | ◎ |
コスティック社のシートとスタンドが完璧に一体となったコックピット。プレイステーションの公式ライセンスを取得している。
シートはランボルギーニなど高級車スポーツカーのシートに使用されるアルカンターラ―素材を再現したスエード生地になっていて、座り心地が良い。また、背もたれも最大180度までリクライニング可能となっている。
ペダルやハンドルの角度調整やシートの前後が出来るため、最適なドライビングポジションを設定することも容易い。
拡張パーツも充実しており、デフォルトでついているシフタ―用スタンドは再度ブレーキキットも一緒に設置するスペースが設けられている。また、別売りのモニターベースを設置すると、最適な位置にモニターが来るため、非常に臨場感のあるドライビングを楽しめる。
Next Level Racing GTultimate V2 Racing Simulator Cockpit
◆GTultimate V2 Racing Simulator Cockpit性能表 | |||
---|---|---|---|
対応ハンコン | Thrustmaster・Logicool・FANATEC | 収納性 | × |
設置スペース(幅×奥行) | 700mm×1500mm | 拡張性 | ◎ |
マイルストーン社の折り畳み式スタンドと専用のシートが一体となったコックピット。
ホールド性能抜群のレーシングシートに4点式シートベルトまで装備している本格仕様で、海外のプロドライバーなどがレースSIM用のコックピットとして使用している。
勿論シフター用のスタンドも用意されており、スタンド自体の角度・高さ調整が出来るので、最適なドライビングポジションにセットすることが可能。
だが、本製品の最大の特徴としては何と言っても別売りの『Motion Platform V3』という製品を組み込むことでSIM内の車の動きに合わせてシートを稼働させることができるという点だ。町のレースシムショップの様な稼働式コックピットを家でも遊べてしまうというわけだ。
『Motion Platform V3』だけで30万円以上とコックピットにしてはかなり高額だが、レースシムショップで使用されているような本格的な6軸や8軸の稼働シートが100万や200万では到底購入出来ないことを考えるとかなりの割安と思える。4点式シートベルトが用意されているのも納得の理由だ。
コックピット下にはマットを敷くべし
コックピット環境の中で重要だが、意外と軽視されているものにマットが挙げられる。
コックピット自体がそれなりの重量を持っているのに加えて、ハンコンからFFB、そしてハンドル操作から設置面にはかなりの負荷がかかることが考えられる。最悪、フロアが傷ついたり、凹んだりする可能性もある。
また、ハンコンのFFBによる振動がフロアに響くことから、家族や集合住宅の場合は隣接住民の迷惑になることも十分考えられ、そのことが気になりレースSIMに集中出来なかったりする。
そのため、マットの用意は必須と言っても良い。コックピットを販売しているメーカーには製品サイズにあった専用のマットを販売している場合も多いが、少々割高であるため見た目に拘らないなら、安価なヨガマットや防音マットを設置するので十分だ。
筆者は集合住宅の2階に住んでいるのだが、防音マットを敷いて2年以上レースSIMをプレイしてきて、真夜中にプレイしていても近隣住民から苦情を言われたことは一切ない。
最高のコックピットを築造して最高のレースSIMを
ハンコンによるレースSIMを楽しむためにはしっかり固定された状態で適切なポジションを取れることが必須になる。
ひと昔前と比べて、各メーカーから様々コックピット製品が販売されており、拡張性もある製品がほとんどのため、自分でSUSなどの鋼材を購入してきて設計・組立をせずとも手軽に楽しめる様になってきた。
数万円はする製品ばかりだが、どれも長く使える耐久性を持っており、なによりしっかりとしたコックピットで楽しむレースSIMのことを思えば、良い買い物と思えるだろう。
筆者も安くはない金額を出して、部屋をコックピットで一畳分潰していても、良い買い物をしたと思っている。
本記事がコックピット選びに悩んでいる諸兄方のお役に立てれば幸いだ。
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